喘息やアトピー性皮膚炎のような慢性疾患(経過が長い病気)の場合、患者さんやその家族が、病気に対する理解や治療を続ける意志を持つ必要があります。
例えば喘息であれば、「喘息とはどういう病気なのか?」、「どんな症状があったら救急受診しなければいけないのか?」、「吸入ステロイド薬の吸入方法は?」など患者さんが理解しておくべき事柄が数多くあるはずです。これらのことを理解しないままだと治療が長続きしない危険性がありますし、よい結果も生まれないと思うのです。
さて、実際に直接患者さんに対する指導・教育を行うのは医師ならびに看護師・薬剤師・栄養士などの医療スタッフです。ここで大切なことは、患者さんを何とかしてあげたいという強い情熱でしょう。医師が患者さんを診察し、診断を下し、治療を行うことは、医療における最も基本的なことですが、これだけでは最良の結果が生まれないかもしれません。少なくとも私の場合は、「病気のことを十分に理解してくれただろうか?」、「治療に前向きに取り組んでくれるだろうか?」、「精神的に満足してくれただろうか?」などいろいろな不安が横切ります。単に、診療を行うだけではなく、それ以外に特別な配慮が必要な気がします。患者さんへの指導や教育は、そのようなところから始まるのではないでしょうか。日々反省を繰り返しながらひたすら努力する・・・。必ずしも優秀ではない私ができることと言えばそれしかありません。