食物アレルギーで、卵・牛乳・小麦の3大アレルゲンの除去食が必要となる患者さんは特に苦労が多いと想像されます。このような状況において、「小麦だけでも食べられるようになるとかなり楽になるのに・・・」と訴える母親は少なくありません。卵や牛乳はいろいろな食品に含まれているので、さぞかし除去が大変だろうと思いきや、「卵を食べないことはそんなに大変ではない。」と言います。小麦はうどん・スパゲッティなどの麺類やパン、お好み焼きなど主食となる食品なので、これが食事に利用できないことは相当な負担になるということです。
小麦は特異的IgEの値と負荷試験の陽性的中率との相関が卵・牛乳ほど高くないので、すなわち小麦の特異的IgEが高くても負荷試験が陰性で食べられる場合が少なくないので、子どもや母親の苦労も考慮に入れつつ、やや早めに負荷試験を計画してあげるとよいかと思われます。ただし、小麦を食べてアナフィラキシーを起こしたことがある子どもの負荷試験は十分に注意すべきです。また、小麦は特異的IgE値が低くてもアナフィラキシーを呈する患者さんがいるので、負荷試験を行う医師はこのことについてもよく認識しておく必要があります。