当院には、「離乳食で鶏卵を与えたら蕁麻疹が出た」ということでいきなり受診される患者さんが少なくありません。鶏卵は食物アレルギーの原因として最も頻度の多い食品ですから珍しいことではないでしょう。しかし、これで赤ちゃんには鶏卵を与えるべきではないと考えるのは早いかもしれません。
嘔吐や蕁麻疹で受診される患者さんは、決まって「卵とじ」とか「炒り卵」などの、いわゆる「固ゆで卵白」よりもアレルギーの出やすいと考えられる調理法が選択されています。もちろん、固ゆで卵白であれば絶対にアレルギー症状が出ないというわけではありませんが、昔から離乳食で用いる鶏卵は、固ゆで卵黄、固ゆで卵白の順で微量から少しずつ与えていくということになっていたんだと思います。この通りに与えれば、意外と安全に食べ進めることができるのかもしれないのです。
厚生労働省から出されている「授乳・離乳の支援ガイド」の見ても、鶏卵は固ゆで卵黄という形で生後7ヶ月くらいから与えてもよいと示されており、決して「鶏卵は離乳食として相応しくない食品である」とは書かれていないのです。
すでに重症の鶏卵アレルギーと診断されてしまっている乳児の場合は、保護者の自己判断で勝手に与えることは避けるべきですが、乳児期早期の湿疹をしっかりと治療すること、および離乳食の基本に沿って固ゆで卵黄から少しずつ与えること等を守れば、もう少し鶏卵アレルギーと呼ばれる乳幼児は減るのかもしれません。