アトピー性皮膚炎の患者さんの中で、ステロイド外用薬を用いた治療法に不安や抵抗感を持つ人は少なくありません。入ってくる情報が豊富過ぎるため、その中から本当に必要な正しい知識を選択することが難しい状況になっており、不安ばかりが高まるのは仕方がないことなのかもしれません。注意していただきたいのは、ステロイド外用薬に関する誤った情報のうちの多くが「商売」(アトピービジネス)と結びついているという点です。どういうことかと言えば、ステロイドに対する恐怖をあおる→ステロイド以外の治療を求める気持ちに傾かせる→ステロイド以外の何らかの商品や治療法を勧める、という手口で自分の商売を成り立たせることがアトピービジネスのお決まりのパターンだということです。患者心理を突いた悪質な手口と言えます。少なくとも我々医療者だけは、患者さんが正確な知識と理解を得られるように努力しなければいけないでしょう。まずは、ステロイドとはどんな物質であるのか、ステロイド外用薬の副作用にはどんなものがあるのか、ステロイドの外用薬と内服の副作用の違い、などについて説明し理解していただく必要があると考えています。何が根底にあるのかと言えば、「患者さんの病気を改善してあげたい、治してあげたい」という医療者としての本能です。患者さんを不安にさせることが我々の仕事ではないはずであり、自分の努力不足を痛感する毎日です。