寛解導入療法における、治療のポイントや問題点を挙げます。
1)strongクラスのステロイドを2週間全身に使用する
が基本です。
それで寛解導入が可能な段階で、本格的な治療が開始できるかどうかです。
2)1)では寛解導入が困難であると予想される場合、治療内容のアレンジが要求されます。
3)見た目に湿疹がない部位(non-lesional)も含め、全身にステロイドを塗ることが重要です。
私は、どんなに軽症でも少なくとも寛解導入時は、全身に塗るべきであると考えます。
4)頭皮は見落としやすい部位です。全例において、頭皮も治療対象部位とすべきです。
5)「一気に改善させる」がポイントです。「ゆっくりと少しずつ良くなっていく」はダメです。
したがって、血清TARC値も著減していくことが理想です。
治療に成功した場合、TARCの半減期は約3日と言われています(福家先生ありがとうございます!)
6)寛解導入が重要であることは、デュピルマブや経口JAK阻害薬などの全身療法においても
同じであると考えます。
7)ただ、全身療法を実施するような超重症例では、寛解導入達成に2-3ヵ月を要することもあります。
8)何をやっても寛解導入が難しい!というような症例があるとしたら、やはり、本格的な治療介入が
遅れてしまったと考えるべきでしょう。重症化すると炎症を抑え込むことが難しくなりますし、
皮膚バリア機能低下を回復させることも一苦労なのです。
9)ご家庭で、この段階がやりきれないという患者さんは、入院していただくしかないのかもしれません。
それくらい重要なファースト・ステップなのです。