前回の続きです。アトピー性眼瞼炎をどのように治療したらよいのかについて考えてみたいと思います。
1)眼軟膏は効果があるのか
眼の周りの湿疹に対して万が一眼に入っても安全だからという理由でステロイド眼軟膏が処方されることが多いと思います。しかし、これらのステロイド眼軟膏はステロイドとしての作用は非常に弱く、眼の周りの皮膚に使用しても大した効果は期待できないのです。眼の縁であれば眼軟膏を使用することは止むを得ないでしょうが、眼の周りの皮膚にはⅣ群のステロイド外用薬(キンダベート・ロコイドなど)を使用してもよいのでは。どのあたりで線を引くのかは難しいですね。
2)アレルギー性結膜炎の治療も必要
アレルギー性結膜炎を合併していて眼のかゆみが強い場合は、点眼薬による結膜炎の治療も必要となります。いくら軟膏をしっかり塗っても、眼のかゆみがとれなければ眼を擦ってしまうので、まぶたの湿疹も改善しないことになります。
3)接触皮膚炎(かぶれ)に注意する
ステロイド眼軟膏の中に、ネオメドロールEEというフラジオマイシン含有製剤があります。アトピー性皮膚炎の場合、フラジオマイシンなどの抗生物質にかぶれやすい患者さんがいるので、使用時には注意が必要です。なるべくなら抗生物質を含まないステロイド眼軟膏を使用するとよいでしょう。
4)予防的なスキンケアが重要
いったんアトピー性眼瞼炎が悪化してしまうと治療に手こずります。したがって眼の周囲に湿疹が拡がらないうちに手入れ(スキンケア)をしっかり行う必要があります。熱心に全身に保湿剤を塗っている患者さんでも、まぶたにきっちりと保湿剤を塗り続けていることは少ないものです。皮膚がきれいな段階から保湿剤による手入れを怠らないようにしましょう。