「アトピー性皮膚炎の原因が知りたい。」ということで受診される患者さんは少なくありません。この場合、患者さんが考える「原因」というものが何を指しているのか確認するようにしています。つまり、どうしてアトピー性皮膚炎になってしまったのか(発症要因)について知りたいのか、それともアトピー性皮膚炎の症状を悪化させている原因(悪化因子)について知りたいのかどちらかということです。後者の悪化因子については、詳しく問診を行ったり、場合によっては血液検査や皮膚テストを行ったりすればある程度推測できるかもしれませんが、残念ながら前者の発症要因については「体質」としか言いようがありません。
どのようにしてアトピー性皮膚炎が発症していくのかについては完全には解明されていませんが、大きく分けて遺伝的要因(アレルギー体質とでも言うのでしょうか・・)と皮膚のバリア障害の2つが重要であると考えられています。ひとつにまとめるとすれば、生まれつき皮膚が弱い体質と表現できるかもしれません。このように皮膚の防御機能が低下してしまう理由として、最近では遺伝子の異常などについても報告されるようになっています。
アトピー性皮膚炎の悪化因子というのは発症の次の段階です。例えば、汗はアトピー性皮膚炎の悪化因子となり得ますが、発症要因にはならないでしょう。もし、汗をかくことでアトピー性皮膚炎になるのだとしたら、世の中の人間はみんなアトピー性皮膚炎になってしまいますからね。そんな事はあり得ないわけです。