食物アレルギーの患者さんが自宅で試験的にちょっと食べてみることは危険であるということになっています。確かに、「ちょっと」と言ってもどれくらいの量のことを指すのかわかりませんし、食物経口負荷試験という病院で実施できる検査法があるわけですから、むやみやたらと自宅で試すのは問題があるのではないかということです。また、初回の摂取が問題なかったとしても、2回目、3回目以降の摂取で突然強い症状が出てしまうということもあり得ます。
だからといって、“安易に食べることを推奨するのは危険である”という結論になってしまうのは、別の意味で危険であるとも考えられます。
私の経験やこれまでの報告等をみると、いつも大きな症状が出ているのは、長い年月除去を継続してきた年長児です。一方で、乳児が離乳食を食べてショック状態になったなどという話はほとんど聞いたことがありません。年齢や状況によって症状の出方が違うのではないでしょうか?
今後は、“小さいうちから少しずつ食べていく”という考え方が出てくるのではないでしょうか。もちろん、いつ頃から、何を、どれくらいの量や頻度で食べていくのかという問題についても解決していかなければなりません。
赤ちゃんがちょっと食べてみるのと、長く除去を続けてきた食物アレルギー児がちょっと食べてみるのとを同じように考えないほうがよいのではないかと思います。この両者では、ちょっと食べてみることの意味合いや危険性が異なるのです。
*以上はあくまでも私見です。食事療法については主治医と十分に話し合って下さい。