アトピー性皮膚炎の患者さんの悩みは、何と言っても「頑固な痒み」でしょう。
肌にブツブツと湿疹があることに困っているというよりも、痒いことに困っているのです。ある学会誌に、アトピー性皮膚炎の子どもたちの母親に対して行ったアンケート調査結果を示した論文がありました。この論文においても、母親が一番知りたいことは「掻かないようにする工夫」であり、一番難しいことは「掻くのをやめること」であるという結果が出ていました。
さて、実際に掻かないようにするよい方法があるのかと言えば、非常に難しい問題です。入浴時のお湯はぬるめにする 、保冷剤で痒みのある部位を冷やす、ミトン(手袋)を付ける、長袖の服を着る、湿疹部位に包帯をする、痒み止めの薬を内服するなど様々な対処や工夫がありますが、これをやれば痒みがピタリと治まってしまうというものではありません。
やはり、皮膚のバリア機能が低下していること、皮膚に炎症があることが痒みの最大の原因になっているわけですから、皮膚の炎症を抑える外用薬であるステロイド外用薬やタクロリムス軟膏を上手に使用して、まず皮膚炎の状態を改善させることにつきると思われます。