食物経口負荷試験(以下、負荷試験)後の食事指導は様々なのでしょうか?
一般的には、負荷試験が陽性であっても比較的多い量の負荷で軽度の症状で済んだ場合は、加工品あるいは負荷食品そのものを少量から摂取してよいという指導がなされることが多いかと思われます。一方、わずかの量の負荷で重度の誘発症状が認められた場合には、完全除去の継続を指示することがセオリー(?)になっています。
前者はともかくとして、後者が問題です。このようなわずかの量の負荷で重度の誘発症状が認められるような患者さんに対して摂取を進めていくことは、経口免疫療法に相当するため、ガイドラインにおいて推奨されていません。しかし、以前にも書いたことがありますが、長く完全除去を続けていることでかえって敏感な身体になりアナフィラキシーを起こしやすくなるということはないでしょうか?、アグレッシブな負荷試験でアナフィラキシーが誘発されると医師も患者さんも萎縮し完全除去に陥りやすいということはないでしょうか?、本当に発症早期の乳児期の段階から微量で反応するような身体だったのでしょうか、少しでも食べていくチャンスは無かったのでしょうか?
確かに経口免疫療法というものは不安定な側面を抱えています。運動や入浴、ウイルス感染などを増強因子として、思わぬ症状が出現するリスクがあるのです。ガイドラインでは、経口免疫療法は研究段階の治療法であり、一般診療においては未だ行うべきではないと注意喚起しています。
負荷試験から話が飛んでいる?、そんなことはありません。
要するに何のための負荷試験かということです。患者さんは少しでも食べられるようになりたいのです。アグレッシブな負荷試験を実施して、アナフィラキシーを起こし、その結果、完全除去継続では意味がない。5-6歳まで除去を続けて研究段階に位置づけられている経口免疫療法に持ち込むという流れは避けたいのです。私の結論としては、通常の負荷試験は無難な方法をとり、それよりもとにかく乳幼児期の早い段階から少しずつ食べさせていくことが重要なのではないかということです。時には極微量からということにもなりますが、あくまでも食事療法です。
ずばり、免疫療法に持ち込むな!、です。
*これは個人のブログです。医学的根拠に乏しい記述がありますので注意して下さい。