アレルギー症状を引き起こす最低量を「閾値;いきち」と呼びます。
重症の食物アレルギー患者さんでは、閾値が低い場合が多い、つまり、わずかの量で症状が出てしまうことが多いように見えます。何をもって重症とするかは難しい問題ですが・・・。
同じ患者さんでも常に閾値が一定というわけではありません。運動や入浴を伴ったり、風邪で体調が悪かったり、空腹で摂取したり、解熱鎮痛剤を内服していたりすると、閾値が下がることがあります。通常よりも少ない量で症状が出てしまうリスクがあるということです。
また、重症の患者さんが長期間に渡って完全除去を続けている場合も閾値が低い状態がキープされるように見えます。しかし、重症であるがゆえに完全除去を実行しているのでしょうから、これも難しい問題です。
一方、症状が出ない範囲で少しずつ、かつ連続的に摂取を続けていると、閾値が上がってくるように見えます。つまり、より鈍感になってくる、より多い量を摂取できるようになってくるということです。このあたりの理論を応用しているのが経口免疫療法と言えるでしょう。
ただし、あくまでも閾値が上がるということであり、「治る」のかどうかというとまた別問題です。治る症例もあるかもしれませんし、完全には治らない症例もあるのかもしれません。