ネット上で、『エピペンと同じ成分のエピネフリンは救急車に積んであります。いざという時も心配ありません。一般人がエピペンを持つ必要はありません。』みたいな文章が流れ混乱したようです・・・。
ボスミン注1mgという注射薬があります。成分はアドレナリンで、エピペンの成分と同じです。救急車にはこのボスミン注1mgが常備されていますが、救急救命士がこの薬を使用できるのは、8歳以上の心肺機能停止患者に対してだけであり、静脈路を確保して静脈投与することになります。救急救命士が、このボスミン注1mgをアナフィラキシー患者さんの治療薬として筋肉注射することはできません。もちろん、アナフィラキシー患者さんが心肺機能停止状態になれば静脈路を確保して静脈投与することは可能です。
救急救命士のエピペン使用に関しては、県単位の「エピペン実施プロトコール」があります。原則として、市町村の中核病院の医師の助言の元に、エピペンの注射を実施します。コンサルトする病院は必ずしも搬送先の病院でなくてもよいようです。
結局、医師ではない教職員や救急救命士がアナフィラキシーを診断することはまだ難しいかもしれないということであり、各学校にエピペンを設置しておくという段階には至っていません。あらかじめエピペンを所持している人が具合が悪くなった場合は、「アナフィラキシーかもしれない!」という判断がしやすいですよね。今後、国内においてアナフィラキシーがより認知・理解されるようになれば、各学校やホテル・レストランにエピペン設置をみたいに変わっていくかもしれません。