少しずつ気温が下がり遅ればせながら秋という感じになってきました。例年の如く、喘息発作を起こす患者さんが増えています。いつも気になるのですが、ちょっと残念な経過をたどる患者さんも含まれます。どのようなパターンかと言えば、1~3歳くらいの頃に何度か喘鳴を繰り返し、いったん症状が落ち着いて3-4年の間は無症状でいるのですが、小学校入学後に再び喘息発作を発症するパターンです。保護者の方がおっしゃる言葉はおおよそ共通しています。「最近はずっと発作が無くて元気だったのですが・・・。」という内容です。
このような出来事からもいくつかの問題点を挙げることができます。乳幼児期にゼーゼーしてそのまま治ってしまうものと学童期まで喘息が持続するものをどのように見分ければよいのでしょうか?、本当に3-4年の間は無症状だったのでしょうか?、軽度の症状を見逃していたということはなかったのでしょうか?、なぜいったん症状が目立たなくなり落ち着いているように見えてしまうのでしょうか?
子どもの喘息発作はライノウイルスなどによる風邪をきっかけとして発症することが多いのですが、何回も風邪を引いて一通りのウイルスに感染してしまうといったん喘息発作が目立たないような状態になるのだと思われます。また、成長につれて気管支が太くなりますから、ちょっとしたことではゼーゼーしにくくなるのかもしれません。しかし、これらの条件にだまされないようにしなければいけないわけです。
小学生になってから久しぶりに喘息発作を起こした患者さんの中には既に肺の機能が低下しつつあるような症例も見かけます。このような結果にならないようにするにはどうすればよいのかを考えながら診療していきたいと思います。