アレルギー関連の学会において、「アドヒアランスの向上を目指して」とか、「アドヒアランスの向上のための戦略」のような講演タイトルを多く見かけるようになりました。アレルギー疾患の治療・管理の中で、アドヒアランスの向上と維持がいかに重要であるかということです。
気管支喘息であれば吸入ステロイド薬を中心とした吸入療法をある程度の期間にわたってしっかり継続することができるかどうか、また、アトピー性皮膚炎であれば、日々のスキンケアや軟膏塗布を怠ることなく続けることができるかどうかが問題となります。
単なる知識の伝達だけではアドヒアランスは向上しないとされています。患者さんと十分なコミュニケーションをとり、信頼関係を構築することがその第一歩となるでしょう。そして、医療関係者は患者さんが受診するたびに、努力していることをねぎらい、励まし、患者さんの治療への取り組みを強化していきます。実行、かつ達成しやすい短期的な目標を設定し、患者さんに「自分はちゃんとできるんだ、やれているんだ」という感覚を持っていただくことも重要です。
とは言うものの、なかなか十分な診療ができていない自分がいます。もしかしたら完成された方法論があるのかもしれませんが、何も知り得ないので全て自分で工夫して診療を行っています。患者さんには迷惑をかけてしまうかもしれませんが、いろいろと考えて取り組んでいく過程が興味深い訳です。今年もあれこれ悩みながら頑張ります。