この時期になると、保育所・幼稚園に提出するための食物アレルギー児の食事指示書を記載する機会が増えます。この指示書に関する問題点がいくつかあります。1)現在はかなり減ってきたと思いますが、医師が作成した指示書なしで、つまり保護者からの指示(あるいは医師の口頭指示)のみで対応している園が存在すること。2)指示書に統一した形式がないこと。3)医師および保護者が細かすぎる指示、曖昧な指示をしてしまう場合があること。4)園側から血液検査(特異的IgE抗体価)の結果の提出を求めてくる場合があること。などがあります。1)は、指示書に関する問題点というよりも、そもそも医師が作成した指示書が存在しないということです。やはり、医師による診断・指示は必須と思われます。3)は、「牛乳20mLまで摂取可」、「十分に加熱された鶏卵は摂取可」などの指示はあまり適切ではないということです。「十分に加熱された」という表現は非常に曖昧です。ゆで卵は十分に加熱された鶏卵ですかね。それでは卵焼きはどうでしょうか?よくわかりません・・・。これらの中途半端な指示は事故の元となるので注意が必要です。もちろん家庭において牛乳を20mLまで飲んでよいという状態はあり得ます。これは問題ありません。解除の一過程というわけです。しかし、園においてはあまり細かい指示は避けるべきです。さて、4)ですが、これは医師の間ではかなり問題になっています。何の必要があって血液検査の結果を提出しなければならないのかわかりません。「アレルギーがある証拠を示せ」ということでしょうか?アレルギーの有無を診断するために医師が存在するわけであり、血液検査や負荷試験を実施しその結果を解釈するのも医師の仕事です。この血液検査の結果提出の習慣は改めるべきでしょう。今回、「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」が公表され、この中には「保育所におけるアレルギー疾患生活管理指導表」も含まれています。今後は、この管理指導表をしっかり運用することにより保育所・園におけるアレルギー対応が前進することを期待します。