食物アレルギー児を持つ母親の悩みは様々でありますし、お子さんの年齢と伴に変化していくこともあるでしょう。
『なぜ発症してしまったのか?』、『離乳食の進め方がわからない』、『アナフィラキシー症状が心配』、『いつになったら食べられるようになるのか?』、『栄養面が心配』、『献立を考えるのが大変』、『食品の購入や外食に気を使う』、『園や学校の給食対応で奔走する』、『経口免疫療法に対する期待』、『周囲の人びとの理解が得られない』等々、挙げればきりがないのでこのくらいにしておきますが、私ができることはとにかく母親の話を聞いてあげることです。しかし、もしかしたら私に言えないような悩みさえあるかもしれません・・・。
先日もある患者さんと少し話し込みました。
3人姉妹で真ん中のお子さんに強い小麦アレルギーがあります。
「家庭内の食事はどうされていますか?」と私が質問すると、
「私(母)と末っ子は真ん中の子に合わせて小麦抜きの食事を摂っています。
でも、男の人はがまんができないみたいで、夫とお姉ちゃんには小麦を使っ
た食事を摂らせています。」
その他にもいくつかの貴重なお話がありました。もちろん、話の内容には良いも悪いもありません。
とにかく集中してお話を聞かせていただくことが大切です。いかにしてそこに入り込むか・・・。食物アレルギー診療の真髄であると感じています。
諸々の話が終わると、「先生、今後もよろしくお願いします」と礼をされ、そのお母様は帰宅されました。数日前の出来事でありますが、いまだに余韻が残っています。