アレルギー科の看板を掲げていると、「蕁麻疹が続くので食物アレルギーか心配」、「蕁麻疹の原因を知りたいので血液検査をして欲しい」という患者さんがたびたび受診されます。
しかし医師からの見解を述べるとすれば次のようになります。
・何日も続くような蕁麻疹にはアレルギーは関与していないと思います
・そもそも、蕁麻疹の中でアレルギーが関与するものは数%です
・取りあえずは血液検査は必要ありません
・内服薬(抗ヒスタミン薬)で蕁麻疹が改善していくのを待ちましょう
このような説明に納得されない患者さんも多く、自分の無力さに加えて、患者さんの蕁麻疹に対する誤解が大きいことがわかります。患者さんはどうしても「蕁麻疹は何らかのアレルギーに違いない」、「蕁麻疹の原因は食べ物である」と強く思い込んでいるようです。
小児の特発性の急性蕁麻疹(何が原因だかわからないが数日続くようなタイプ)の場合だと、感染症が引き金となるようなものが多いのではないでしょうか。
すなわち風邪などをきっかけとして1-2週間蕁麻疹が続くことがあるということです。症状が治まるまで内服薬(抗ヒスタミン薬)を使用するのが治療の基本であり、食生活は普段通りで構いません。
食物アレルギーによる蕁麻疹は、通常であれば即時型症状の一症状であり、以下のような様子であればただの蕁麻疹とは思わない方がよいでしょう。このような状態はもはやアナフィラキシーであり、救急受診が必要となります。
『食事を開始したら喉がちょっと痒いような感じがしたがそのまま全て食べ終えた。15分くらいしたら急に咳が止まらなくなり息苦しくなってきた。さらには全身がたまらなく痒くなり蕁麻疹が拡がってきた。なんとも言えない不安感が湧き上がった。』