喘息患者さんの症状をどこまで抑えてあげればよいのか、どこまで治療すべきなのかということで悩むことがあります。もちろん咳やゼーゼーなどの症状が全くないことが理想であり、小児気管支喘息ガイドラインにおいても、「昼夜を通じて症状がない」ことを治療目標としています。しかし、軽症例ならばまだしも中等症以上の症例では全く症状がないという状態を保つことは必ずしも簡単ではありません。風邪(ウイルス感染)を引いたりするなどの強い刺激が加わった場合に、喘息症状が出てしまう可能性があるのです。このような場合に、限りなく抗炎症治療を強化して何の症状も出ないように治療していくべきなのかどうかが難しいと思います。どんどんと薬の種類や量を増やすべきなのかどうかということです。薬物治療を強化し症状を完全に抑えることによって喘息の予後(病気の最終的な状態)がより良いものとなる証拠があるならば、できる限りがっちりと治療を行った方がよいということになります。そのような証拠がないならば、経済的にも身体的にも患者さんに負担がかからない程度に治療すればよいということになるでしょう。理論的には徹底的に炎症を抑えた方がよい結果が得られそうな気がしますが、まだ十分に分かっていないところだと思います。
治療の一角としてダニ対策などの環境整備も忘れてはなりません。環境整備に配慮することによって少しでも薬の使用量を減らすことができれば理想的です。