「乳幼児などの小さなお子さんでは食物がアトピー性皮膚炎の原因となることもあるが、学童期以降では食物とアトピー性皮膚炎はほとんど関係がない。」というのが大方の認識となっています。しかし、興味深い報告がされていることは知っておいてもよいでしょう。例えば、シラカンバ花粉症でアトピー性皮膚炎を合併している患者さんがいたとします。このような患者さんがシラカンバ花粉の関連食物であるリンゴ、セロリ、ニンジンなどを摂取した場合に、じんましんや咳などの即時型症状を起こさないとしても、アトピー性皮膚炎の湿疹が悪化することがあり得るということです。食べて直ぐに何かの症状が出るわけではないので、患者さんはどうして皮膚の状態が悪化したのかわかりにくいでしょう。このような症例において、「シラカンバ花粉の関連食物を食べてはいけない。」と指導することが正しいのかどうかはわかりません。ステロイド外用薬を塗布して湿疹が改善すればよいのかもしれません。ただし、このような現象(花粉関連食物の摂取によるアトピー性皮膚炎の悪化)が実際にどの程度起こっているのかということについては、もう少し研究結果を待った方がよさそうです。
*シラカンバ花粉とバラ科食物(リンゴ・サクランボなど)、セリ科食物(セロリ・ニンジンなど)は、ある種の蛋白質を介する交差反応性を有しています(2008/09/29)。