アナフィラキシーとは何でしょうか? 専門的に表現するならば、IgE抗体を介したⅠ型アレルギー反応の結果、呼吸困難や血圧低下などの重篤な全身症状を呈するものということでしょう。もう少しわかりやすく言うならば、薬物や食物、ハチの毒素などが原因となって発症する重症のアレルギー反応で、皮膚、呼吸器、消化器など多くの臓器に症状が現れるもの、となりますがこれでも患者さんにはわかりにくいでしょう。具体例を挙げた方がよいかもしれません。
「抗生物質を注射したら、急に息苦しくなり、お腹が痛くなって吐いた。」、「エビを食べたら、全身にじんましんが出現し、咳きこんで止まらなくなった。」、「スズメバチに刺されたら、直後から喉が締めつけられるような感じになり、意識が遠のいた。救急車で搬送され一命をとりとめた。」などはアナフィラキシーの例として挙げられます。3番目のスズメバチの症例はアナフィラキシーショックと呼べるレベルと言えるでしょう。
さて、アレルギーの診療を行う上ではアナフィラキシーについて十分に理解しておくことは重要と思われます。「アナフィラキシーが起こるしくみは?」、「アナフィラキシーをどのように診断するのか?」、「アナフィラキシー(ショック)をどのように治療すべきか?」などについてしっかり勉強しておかなければいけないと考えています。患者さんも、アナフィラキシーとはどんな症状・状態を指すのか? どのように対応すればよいのか?などについて、主治医から十分に指導を受けておく必要があります。