アトピー性皮膚炎の患者さんは次のような悩みをお持ちではないでしょうか?「ステロイドを塗るとある程度良くなるけれど、塗るのを止めるとすぐに皮膚状態が悪化してしまう。ステロイドを塗り続ける状態になってしまう。何とかならないものか・・・。」このような状態に陥らないためにはどのような工夫が必要なのでしょうか。外用薬の塗り方にポイントをしぼってお話しましょう。
1)ステロイド外用薬の使用量や使用期間は余裕をもって
湿疹が十分に改善するまで塗り続けているでしょうか?アトピー性皮膚炎の炎症部位には好酸球と呼ばれる炎症細胞が多数群がっています。この細胞が消えてなくなるまでにはある程度の期間がかかり、それまではステロイドを塗り続ける必要があるのです。改善が不十分な状態でステロイドを中止してしまうと、すぐに湿疹がぶり返します。
2)タクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)を有効に活用する
とは言うものの、なるべくなら早めにステロイド外用薬を中止したいという気持ちがあるかと思います。この気持ちは医師も同様かもしれません。
幸いにも最近ではタクロリムス軟膏という有効な外用薬があります(2008/08/26)。この薬を維持療法に上手に使用すると、多くのしつこい湿疹をうまく治すことができます。具体的には、ステロイド外用薬を使ってある程度皮膚の赤みや痒み、ザラザラした感じがとれてきたらタクロリムス軟膏に変更するのです。その後は皮膚がつるつるした感じになるまでタクロリムス軟膏を塗り続けます。タクロリムス軟膏にはステロイド外用薬のような皮膚を薄くする副作用がありません。2歳以上のお子さんにしか使えないのが残念なところです。
1)、2)のいずれの方法を選択するにせよ、経過をまめに見せていただくと指導しやすいですね。