前回の続きです。喘息の発作とはどのような状態なのか説明しましょう。喘息の発作とは、患者さんが強い咳込みや喘鳴、呼吸困難などを生じた状態と言えます。つまり、急激に症状が悪化した状態です。喘息の患者さんの気道は慢性の炎症を起こしており、ふだんからちょっとした咳や痰がらみなどを認めることはありますが、それらはあくまでも「症状」であって「発作」とは言いません。ゼーゼーして息苦しいなど、状態が悪くなった時に発作と呼ぶわけです。発作を起こすきっかけとしては、風邪(ウイルス感染)を引いたとか、運動したとか、タバコの煙を吸い込んだとかいろいろあります。
さて、我が国の小児科医の感覚からすると、喘鳴があれば少なくとも小発作以上であると考えると思うのですが、このあたりは海外での認識は多少異なるものがあります。海外だと軽度の喘鳴や一時的な息切れ感は症状の一つであり、発作とは見なさないようです。もう少し状態が悪化した場合のみを発作と定義しているらしく、それを「急性増悪」とか表現することが多いです。日本の小児科の方が、軽い症状のうちから慎重に対応しているように見えます。