国立感染症研究所によれば、冬季に流行し、乳幼児に肺炎などを引き起こすRSウイルス感染症の患者が、この時期としては異例のペースで増えており、今までで最も大きな流行になるおそれがあるとのことです。
RSウイルスはインフルエンザウイルスと並び、冬季の風邪の中心的なウイルスです。軽い風邪様の症状から重症な細気管支炎・肺炎などに至るまで様々な症状を呈します。乳児の約70%が1歳までに罹患し、3歳までには全ての小児が抗体を獲得すると言われています。通常は、11月~1月にかけて、12月をピークとする流行がみられるのですが、今年は去年の同じ時期と比べて2倍近くの患者数となっており、これから冬にかけての増加が心配されています。
よく、「RSウイルス細気管支炎に罹患した児は喘息になりやすい」とか、もっと極端な表現で、「RSウイルス感染症に罹患した児は喘息になりやすい」などと言われることがあり、母親たちを不安にさせています。後者は明らかに不適切な表現でしょう。先ほども述べたようにRSウイルス感染症にはほとんどの乳幼児が一度は罹患するわけですから、RSウイルスに感染しただけで喘息になってしまうのだとしたら、たいていの子どもたちはみんな喘息になることになります。
こんなことはあり得ません。それなら、前者の「RSウイルス細気管支炎に罹患した児は喘息になりやすい」はどうでしょうか?
以下のような説明も考えられています。つまり、RSウイルス細気管支炎に罹患した児が喘息になりやすいというよりも、遺伝的に喘息になりやすいような児がRSウイルスに罹るとゼーゼーしたり重症の細気管支炎になったりしやすいのではないかということです。普通の児がRSウイルスに感染した場合は単なる風邪で済むことが多いが、喘息になりやすいような児が感染した場合はそれだけでは済まないかもしれないという説明です。非常に納得できる説明ですが、実際はどうなのでしょうか。勉強を続けたいと思います。