例年この時期になるとアトピー性皮膚炎で初診される患者さんが増加します。友人の田中先生のクリニック(http://www.sukoyaka-allergy.jp/top.php)も同様の状況のようです。最も多いパターンは、乳児の患者さんで「湿疹がなかなか改善しない」という訴えです。その他にもいろいろな受診パターンがあるわけですが、時には「ステロイドは絶対に使いたくない」という患者さんも受診されます。以前と比べればかなり少なくはなったものの、未だにステロイド外用薬に強い不信感を持っている患者さんはいるのです。
ある患者さんはわざわざ静岡市から受診して下さるのですが、少なくともステロイドだけは使いたくないとおっしゃいます。地元のある病院で「ステロイドを使ってくれないならうちでは診れません」と言われたのが遠くまで足を向けた理由のようです。残念ながら私もアトピー性皮膚炎に対する薬物療法の中心はステロイド外用薬であると認識している立場なので、この患者さんの期待に十分に応えることはできていないのですが、かと言って「診れません」などと言う理由もないので診察はさせていただいています。
いつも思うのですが、重要なことは「いかにして患者さんの湿疹を改善させるか」ということのはずです。ステロイドがいいとか悪いとかいうことばかりに頭がいってしまうと本当に大切なことがわからなくなってしまいます。「最も安全かつ確実な治療は何か」、「目的は湿疹を改善させることである」・・・、これらについてじっくり説明を続ければ、必ず患者さんはわかってくれると信じています。良くしてあげたいという気持ち、これに尽きるのです。