冬になると皮膚は乾燥しやすくなります。特に、アトピー性皮膚炎の患者さんや水仕事の多い人、お年寄りなどでは、乾燥が著しくなり皮膚が傷んでいきます。乾燥の進行を防ぐためには、皮膚からの水分の蒸散を抑えるべく保湿剤を有効に活用することが重要です。
さて、いわゆる保湿剤と呼ばれるものには大きく分けて2種類があります。emollient(エモリエント)とmoisturizer(モイスチャライザー)の2つです。
エモリエント効果とは、油分で皮膚表面をおおって皮膚からの水分の蒸発を防ぐことです。エモリエント剤には、ワセリン・椿油・オリ-ブ油などがあります。一方、ヘパリン類似物質含有製剤(ヒルドイド)や尿素製剤(パスタロン・ウレパール)など、それ自身が水と結合するのがモイスチャライザーであり、これこそが本来の保湿剤と言えます。
このような点から考えると、ワセリンのようなエモリエント剤を乾燥した状態の皮膚にそのまま塗布しても十分な効果を発揮することはできません。エモリエント剤を使用する意義が高いのは、入浴後の皮膚がしっとりした状態の時です。入浴後のできれば3分以内、遅くとも10分以内に塗るように心がけましょう。日中は、適宜モイスチャライザーを使用し、保湿に努めましょう。もちろん、入浴後を含めて全ての保湿にモイスチャライザーを使用してもかまいません。