先月(2010/2/11)紹介したように、静岡県においてアレルギー疾患用の学校生活管理指導表が実施されるようになりました。
管理指導表提出の対象となるものは、「学校における配慮や管理が必要だと思われる児童生徒」となっています。食物アレルギーの場合は、給食への対応という問題がありますから、対象を絞ることはさほど難しくはありません。どんな食品に対してアレルギーを有しているのかをしっかり診断すればよいだけのことです。実際には、この作業は必ずしも容易ではありませんが・・・(汗)。
気管支喘息の患者さんの中で、どのような児童生徒を管理指導表提出の対象としていくべきなのかについて議論していかなければいけないでしょう。学校における配慮や管理が必要だと思われる喘息児というものがよくわかりません。どこで線を引けばよいのでしょうか?軽症の児には配慮が不必要なのでしょうか?定期的な治療を受けていて状態が安定している児が「調子が良くて配慮が不要である」という理由から対象を外れてしまう危険性はないでしょうか?一方、いまどき「チョークの粉が舞う教室で授業が受けられない」とか、「マラソン大会は出場不可能である」などの喘息児がそんなに数多くいるのでしょうか?もう少し対象とすべき児の具体的な基準があった方がわかりやすくなると思われます。提出の有無を保護者に選択させているのもやや無理がないでしょうか。「うちの子はこれを提出した方がよいのでしょうか?」と多くの母親から質問を受けました。
個人的には、気管支喘息患者さんの指導表提出の基準としては、「持続型の喘息で長期管理を受けているもの」とするのが妥当ではないかと考えます。簡単に言えば、「毎日、喘息の予防のための薬を内服したり吸入したりしている患者さん」です。主治医が、患者さんの重症度分類を的確に行い、個々の重症度に応じた治療薬を用いるように努めることで、この学校生活管理指導表の目的の一つが達せられると思うのです。「全ての喘息児が重症度に合った正しい治療を受けているとは限らないのではないか」と反論する医師がいるかもしれませんが、逆にこのような機会を通して正確な重症度分類とそれに基づいた長期管理(予防的治療)を目指すべきだと考えます。