アナフィラキシー(2009/04/06)とは何かということについてきっちり定められたもの(定義)があるのでしょうか。身体が発する症状は刻一刻と変化するものなので、厳密にどこからがアナフィラキシーと決めることは難しい場合もあります。しかし一応定義はされています。2005年7月にアナフィラキシーに関する国際的な会議である第2回会議(Second NIAID/FAAN Symposium)が開催されました。会議では、米国アレルギー感染症研究所(NIAID)と食物アレルギーアナフィラキシーネットワーク(FAAN)が中心となり、北米・ヨーロッパ・オーストラリアからの16機関の代表が集まってアナフィラキシーの定義やその対処法などについて討議されました。この会議においてアナフィラキシーは、‘‘Anaphylaxis is a serious allergic reaction that is rapid in onset and may cause death.’’ と定義されました。日本語に訳せば、「アナフィラキシーとは、突然発症し死に至る可能性がある重度のアレルギー反応である。」という感じでしょうか。実にシンプルな表現だと思いますが、要するに急速に進行する重いアレルギー症状ということです。
日常の診療では、アナフィラキシーを「多臓器(2臓器以上)にわたるアレルギー症状」と考えるとわかりやすいでしょう。例えば、じんま疹(皮膚症状)と嘔吐(消化器症状)、じんま疹(皮膚症状)と喘鳴(呼吸器症状)などは、いずれも2臓器以上でアレルギー症状が出現しているので、アナフィラキシーと診断できます。ただ、薬物や食物が原因となって喘鳴や呼吸困難などの強い呼吸器症状が現れたとしたら皮膚症状などがなくてもアナフィラキシーのレベルと考えてよいでしょう