質の高いアレルギー疾患の診療が全国規模で速やかに行われることを目指して昨年度より全国のアレルギー科標榜の医師および患者さんを対象にアンケート調査が行われたようです。
アンケート結果が公表されているので、一部を紹介したいと思います。
まずは、「ガイドライン⇔現場実態」課題ビッグスリーです。
今回は、アトピー性皮膚炎について・・・。
①いまだにステロイド「使いたくない」患者が多数派
診療ガイドラインでは、皮膚症状の程度に応じた適切なランクと使用量を具体的に示して、ステロイド外用剤の使用を推奨しています。症状がある場合には、ステロイド外用剤による治療が必要です。
ところが実態(※)は、患者の65%(成人で59%、小児で71%)が、ステロイドを「使いたくない/どちらかというと使いたくない」としています。
②外用剤を「できるだけ薄くのばす」方がよいとの誤解が多い
診療ガイドラインでは、これを推奨していません。なぜなら外用剤は治療段階に応じて適切な量を使用することが重要であり、「できるだけ薄くのばそう」とするのは使用量が減ったり変動するため、望ましくありません。
ところが実態(※)は、医師の23%がステロイド薬を「できるだけ薄くのばして塗るよう指導」し、患者の56%も医師からそのように指導されていると回答しています。
③1割が「入浴時の石けん不使用」
診療ガイドラインでは、石けんの使用が皮膚症状を悪化させるとは考えておらず、標準的には石けん使用を禁止していません。
ところが実態(※)は、医師の8%が「入浴時の石鹸使用は皮膚を悪化させるので禁止」しており、患者の12%(成人で12%、小児で12%)も「入浴時に石けんを使用しない」よう主治医から指導を受けているようです。ただし成人の29%、小児の33%は、診療ガイドライン通り「石けんを使用する」よう指導されています。
※実態の値(%)は本調査結果からの引用です。調査規模は医師1032人、患者8240人ですが、医師調査は自発的郵送返信、患者調査はインターネット調査で行ったため、必ずしも全国の実態を代表していない可能性があります。