近年、喘息の本態が気道の慢性炎症であることが理解されるようになり、吸入ステロイド薬を中心とした治療薬の進歩には目覚ましいものがあります。喘息を治すということに関しては、まだまだ研究の余地が多く残されていますが、症状をコントロールするという目標はかなり達成されるようになったのです。しかし一方で、喘息の診断法が著しく進歩したかといういと必ずしもそうではないと言えます。気道の炎症とか気道の過敏性を評価する検査法などもありますが、どこの病院でも外来で気軽に行えるというわけではありませんし、小さなお子さんに対して簡単にできないような検査がほとんどです。そもそも、喘息の診断基準というもの自体が存在していないわけであり、何かの検査を行うとかいう以前の問題点があるのです。このような問題を考えなければならない時に最終的に浮かび上がってくるのは、「そもそも喘息とは何か?」という疑問です。喘息という病気の全てが解明されたわけではないので、診断が難しくて当然なのかもしれません。特に、小さなお子さんの場合はなおさらです。