空気が乾燥した秋から冬にかけては、皮膚の表面にある角質層の水分量が減少し皮膚が柔軟性を失った状態であるドライスキンが問題になります。年をとればセラミド(角質細胞間脂質)が減少し皮膚は乾燥傾向になりますし、主婦が水仕事などで洗剤を繰り返し使用すれば手はドライスキン状態になり手湿疹に発展する元となります。アトピー性皮膚炎の患者さんで認められるドライスキンを考える場合は、単に角質層の水分量が低下しているということだけではなく、皮膚のバリア機能の低下を伴っているということを忘れてはなりません。そのような点からすると、現在わが国でアトピー性皮膚炎の患者さんに使用されているスキンケア製剤は、保湿作用は有するもののバリア修復効果が乏しいのではないかと思われます。
海外で使用されている皮膚バリア修復薬には、セラミド・脂肪酸・コレステロール・抗酸化剤、ヒアルロン酸など様々な成分が配合されており、非常に興味をそそられます。しかし、現時点ではこれらの皮膚バリア修復薬を日本国内で開発する計画はないようです。とりあえずは現在使用できる「保湿剤」と呼ばれる外用薬を頻回に塗るしかなさそうです。