アトピー性皮膚炎や気管支喘息、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患において、その症状がひどいと十分な睡眠をとることができなくなります。アトピー性皮膚炎では強い痒みのために眠れないということになりますし、気管支喘息では咳や息苦しさ、アレルギー性鼻炎では鼻水や鼻づまりが問題となります。アレルギー症状による睡眠障害は、集中力や思考能力の低下をもたらし社会生活に大きく影響します。
近年、医療は患者さんのQOL(生活の質)の向上により配慮すべきであるという傾向が強まっていますが、「快適な睡眠を保つ」ということは患者さんのQOLを考える上で最も重視すべき目標の一つでしょう。やっかいなことに、アレルギー疾患におけるこれらの不快な症状は日中よりも夜間に増悪する傾向があります。患者さんの夜間の苦痛を想定しながら診療することが重要でしょう。