食物アレルギーの患者さんは自由に安心して食生活を送ることが制約され、QOL(生活の質)が低下します。特に、除去すべき品目数が多い場合にその傾向が強まります。鶏卵、牛乳や小麦を除去することはもちろん大変ですが、それではピーナッツやそば、ゴマなどの比較的稀にしか摂取する機会がないと思われる食品を除去することはさほど大変ではないのでしょうか?
まず、ピーナッツは欧米では多くの加工品においてピーナッツバター・ピーナッツクリームという形で使用されており、注意が必要となります。必ずしも、めったにお目にかからない特殊な食品というわけではないということです。それでは、ゴマなどはどうでしょうか?「ゴマなんか食べなくたって何も困らない!」と思うかもしれません。最も面倒なのは多くの食事においてゴマが利用されているために、他の食品まで摂取できなくなってしまうということです。実は私の家族にもゴマアレルギーの者がいます。お弁当のご飯やおかずにゴマがふりかけてあったり、大手のハンバーガーのパンの上にはりつけてあったり、ラーメンにたっぷりゴマが入っていたり・・・。あらかじめ分かっている場合は、その食事を避けるようにしていますが、つい忘れて注文してしまうことがあるのです。この煩わしさは体験したものにしかわからないでしょう。
というわけで、私としては単なるアレルギーの有無という観点からのみではなく、食物アレルギー患者さんの栄養やQOLを意識しながら診療するように心がけています。