食物アレルギーに関するある本から・・・
調理による鶏卵の抗原性の変化については興味深く、鶏卵は一緒に調理する副材料の影響も受けるとのことです。
例えば、小麦粉と合わせて作った焼き菓子では、不溶化という現象が起きて鶏卵の抗原性が低下します。鶏卵のタンパク質が小麦粉の成分と固く結合し、溶けにくくなる(不溶化)ためアレルギーを起こしにくくなるらしいです。
少々理解しにくい内容もありました・・・。
『ほとんどの赤ちゃんがお母さんの母乳を通じて原因食物抗原を摂り、症状を起こします。』
『牛乳や卵をやめると、それまで症状が出たり治ったりしていた湿疹もいつの間にか治ってしまいます。』
『二週間ぐらいで見違えるほどよくなり、ステロイド軟膏も保湿剤もほとんど必要なくなります。』
確かに、乳児期には食物がアトピー性皮膚炎の原因になることもあるでしょう。しかし、この本ではその影響を強調し過ぎているように見えました。
ステロイド軟膏はともかくとして、保湿剤も不要になるという説明も理解できません。アトピー性皮膚炎では皮膚のバリア機能低下が指摘されていますから、保湿剤は基本治療として欠かすことはできないはずなのです。
「食物アレルギー⇒アトピー性皮膚炎」という関係は乳児期では無視できないのかもしれませんが、「食物アレルギー⇒アトピー性皮膚炎⇒食物の除去」という図式には慎重な議論を要するのでは? 皮膚炎(湿疹)はステロイド外用薬とスキンケアでコントロールすれば、2-3ヵ月の期間で食物の影響は少なくなってくるように見えます。それどころか、母親の食事も含めた過剰な除去食により、児の「経口免疫寛容」獲得および促進の機会を奪わないようにしたいものです。
このあたりの議論はいつも曖昧ですっきりしません。第一線の専門家の間でも多少意見が異なるように見えます。早期の明解な説明が期待されます。