複数の食品に対するアレルギーを持つ重症食物アレルギー児の診療を行う際、患児の母親から学ぶことは多々あります。というか、私の方から積極的に学ばせていただくと言った方がよいのかもしれません。調理をする時の苦労にはどんなことがあるのか?、アレルギーの無い兄弟姉妹との関係をどのように保っているのか?、園や学校で一番困ることは何か?、その他質問したいことはいくらでも出てきます。もちろん、私も食物アレルギーを専門に診療している身ですから、食物アレルギー児を持つ保護者がどんな苦労を背負っているのかはおおよそ把握しているつもりです。
しかし、私が知りたいのは、本当のところ日々どんな思いで生活しているのかということです。私の前ではお母様方は笑顔で接してくれますが、胸中計り知れないものがあると思われます。実際、つらい体験を思い出しつつ涙するお母様もいるのです。5-10分という短い診察時間の中だけくらいは、私に言いたいことを吐きだしてくれればいい・・・。そんな気持ちでお迎えしています。