産経新聞 2月6日(木)
食物アレルギーの原因食材のうち、そばとピーナツについて、9割の母親が、子供が1歳を超えても離乳食として食べさせていないことが、環境省の大規模調査で分かった。そばとピーナツは重篤なアナフィラキシーを起こすことから、保護者が意図的に食べさせる時期を遅らせている姿が浮き彫りになった。ただ、調査を担当した国立成育医療研究センターアレルギー科の大矢幸弘医長は「食べさせる時期を遅らせても食物アレルギーの予防効果はない」としている。
調査は、環境省が子供の病気や健康に環境が与える影響を妊娠段階から調べるため、平成23年から始めた「エコチル調査」の一環として実施。1歳の子供を持つ母親や家族約2万6千人が回答した。
それによると、離乳食の開始時期は6カ月が45%で最も多く、5カ月の40%が続き、5、6カ月で85%を占めた。また、母親の年齢が高いほど離乳食の開始時期が遅い傾向にあった。
食品を食べさせ始めた時期では、コメは8割の母親が6カ月より前から食べさせていたが、一般的にアレルゲンになるとされる小麦は7割、鶏卵や牛乳は8割以上の母親が7~8カ月以降に与えていた。中でも、そばは88%、ピーナツは95%が1歳を超えても食べさせていなかった。
海外の研究では、離乳食の開始が遅いほど2歳時のアトピー性皮膚炎や乳児喘息(ぜんそく)が多いことが明らかになっている。また、ピーナツアレルギーがイスラエルの10倍とされる英国では、ピーナツの摂取開始時期がイスラエルよりも遅いなど、摂取開始時期が遅い方がアレルギーとなりやすいことが示されている。
大矢医長は「アレルゲンとなる食物の摂取開始時期は遅らせない方が良さそうだが、皮膚に湿疹のある子はそうともいえず、一概には言えない。今後の調査で、離乳食の開始時期とアトピー性皮膚炎の因果関係などを明らかにしていきたい」と話している。