「風邪を引いた後にせきが長引く」、「冷たい空気を吸い込むとせき込みやすい」、「風邪薬を飲んでも効かない」、「気管支を拡げる薬が効く」などが当てはまるけれど、「ゼーゼー・ヒューヒューしたことは一度もない」という場合は咳喘息(せきぜんそく)である可能性があります。咳喘息は喘息の前段階とも考えられており、患者さんの約30%が喘息に移行するといわれています。喘息への移行を阻止するために喘息に準じた予防的治療(吸入ステロイド薬など)を行う必要があります。
今回、私が強調したい点は以下です。
1)咳喘息という喘息の前ぶれのような病気があり、この病気はゼーゼー・ヒューヒューすることはないのだということを知っておくべきでしょう。
2)しかし、「長引く咳=咳喘息」というわけではありません。鼻の病気で咳が
出ている場合もあるので、しっかりと区別してもらう必要があります。
3)小児の咳喘息を診断するときに気になることがあります。「本当にこのお子さんは一度もゼーゼー・ヒューヒューしたことがないのか?」ということです。保護者が気付かなかっただけかもしれません。子供は自分から「僕は時々ゼーゼーすることもあるよ。」とは言いませんからね。もし既にそのお子さんがゼーゼー・ヒューヒューしたことがあるのだとしたら、咳喘息ではなくて喘息だということになります。