アレルギー患者さんの治療目標とは何でしょうか?
取り敢えずは、煩わしい症状を少しでも抑えておくという「症状コントロール」を目指すことになるでしょう。喘息であれば、咳き込んだり、息苦しくなったりする症状を抑え、勉学やスポーツが普通に行えるようになりたいと考えるでしょう。アトピー性皮膚炎であれば、痒くて眠れないとか、入浴時に皮膚がしみて痛いなどの症状を何とかしたいと思うわけです。病気が治っている訳ではないけれど快適に生活できるような状態が目標です。
次に目指すのは、寛解(かんかい)状態でしょうか。これは、見かけ上症状が消失して落ち着いている状態です。患者さんから見れば、治ったように感じる状態ですが、本当の意味で治っているとは言い切れない段階です。小児の喘息においては、「無治療・無症状」になったときからを寛解と判定しています。つまり、薬を使用している段階では、どんなに調子が良くてもまだ寛解とは言えないということです。
最終目標は、治癒(ちゆ)ということになるでしょう。簡単に言えば、「治る」ことを目指すわけです。実は、病気が本当に治ったのかどうかということを判定するのは意外に難しいことなのです。どうやって医学的に治癒を証明するのかという問題があるわけです。結局、どこかで線を引くしかないので、こういう状態なら治癒と考えて良いだろうという決め事が作られています。小児喘息で言えば、「無治療・無症状が5年間続いている場合」を(臨床的)治癒と定義しています。薬無しで、何にも症状が無い状態が5年間ずっと続いてようやく治ったと言えるわけです。かなり厳しい条件です。それでも病気が治ること(治癒)はみんなの最大の目標です。