「貼付型の長時間作用型気管支拡張剤」と言ってもピンとこないかもしれません。「胸や背中に貼る咳止め(?)のテープ」と言えばすぐにわかるでしょう。
しかし、この薬の乱用(?)について小児科領域でしばしば問題になっています。確かにこの薬の適応症として、「急性気管支炎」は含まれるのですが、本来はこの薬は気管支喘息の治療薬と考えるべきであり、ある程度の基準を持って処方すべきでしょう。と言いつつ私もお母様方の勢いに負けて処方してしまうことがありますが・・・(汗)。薬を内服することが苦手な子どもにとってはとても便利な薬なのかもしれません・・・。
注意点をまとめると、1)あくまでも気管支拡張薬であり、咳止めではないこと、2)喘息症状が無くて安定しているときには貼付を中止すること、3)即効性はないこと(血中濃度が上がるまで少なくとも4時間はかかります)、4)内服の気管支拡張薬と併用しないこと(心臓がドキドキしたり、手が震えたりする副作用が出現する可能性があります)、などが挙げられます。
そして最も重要な点としてお伝えしたいことは、この貼付薬を頻繁に使用しなければならないほど咳などの喘息症状が認められるとしたら、この薬をひたすら使い続けるのではなく、ふだんの喘息治療(長期管理)を見直すべきだということです。さらには、喘息患者さんが咳をしているからといってそれがすべて喘息から生じているとは限りません。違う原因で咳をしているのかもしれません。いろいろと見極めていかなければならないのです。