保護者の方は「我が子のアトピー性皮膚炎の原因が知りたい」という質問をよくされます。おそらく、卵であるとか、カビであるとかそんなような答えを期待しているのかと思います。患者さんは特定の悪化因子について不安が強いようです。確かに、「ペットと離れて暮らしたら皮膚状態が改善した」というような例はないわけではありません。
ウィキペディア(インターネット百科事典)で、アトピー性皮膚炎の原因についての記載をみると、体内に常在する細菌叢とアトピーとの関連、遺伝的要因、栄養要因、環境要因などがあり、その他の説としてアレルギーや表皮バリア破綻説が述べられています。患者さんがこんなものを読んだら訳が分からなくなってしまうことでしょう。やはりアトピー性皮膚炎は難しい病気なんだと感じてしまう危険性があります。
ここはザックリと「アトピー性皮膚炎は表皮のバリア機能障害から始まる」と
理解しておく方が患者さんは治療に取り組みやすいのではないかと思います。
医学的に言えば、アトピー性皮膚炎にはアレルギー性の炎症とか、免疫異常とか様々な要素が絡み合ってくるわけですが、とりあえずは患者さんはシンプルに理解した方がよいのです。
表皮のバリア機能障害があり、皮膚が乾燥しやすく外的な刺激にも弱い状態になっています。ここでスキンケアの重要性が浮かび上がってくるわけです。もちろん環境整備等も重要ですが、まずは皮膚をきれいにしっとりさせるとか、しっかりと外用薬を塗るとか、皮膚そのもののケアに力をいれていただきたいのです。