何度も大きな喘息発作を起こしていても治療薬をしっかりと継続的に使用することができない場合があります。はっきりと申し上げれば、勝手に治療薬を中断してしまう患者さんがいるということです。
そもそも、患者さんにとって喘息という病気を理解することは難しいようです。「発作がしばらくないのは治った証拠だろう」「走ると少し息苦しくなることはよくあるけれど、発作で入院したことはないので大したことはないだろう」「長く薬を続けるのはむしろ身体によくないのではないか?」など、多くの誤解があるようです。もしかしたら、「薬にあまりお金をかけたくない」という気持ちもあるかもしれません。これは私にも十分理解できる気持ちです。
やはり、喘息という病気を正しく理解しなければ、治療薬を根気よく続けることは難しくなるでしょう。このような問題を生じてしまう原因としては、我々医療者側にも大きな責任があると思われます。医師や看護師、薬剤師などの医療スタッフは、「みんなで患者さんの病気を治すんだ!」という気持ちを持つ必要があります。患者さんに喘息という病気を詳しく説明するだけではなく、患者さんとの十分なコミュニケーションや信頼関係を築き、その結果患者さんは治療薬を熱心に継続使用できるようになるのです。まだまだ私も努力が足りないようです。
なお、全ての喘息患者さんが継続的に薬を使い続けなければいけないわけではありません。あくまでも、「持続型」という月に1回以上の症状が認められる患者さんのみの話です。「いや、うちの子は月に1回以上なんか症状は無いのに薬を続けるように指示されている!」とおっしゃる保護者の方もいるかもしれません。この辺りの話を始めるとまた長くなるので、いずれ解説したいと思います。