最近は20-30年前と比べると重症の喘息発作を繰り返すお子さんが減っています。吸入ステロイド薬を中心とした炎症を抑える予防的な治療法が普及してきたことが、重症の発作や入院を減らした大きな理由と考えられています。
既に医師のやることは無くなってしまったのでしょうか?今どきの喘息児は軽症であり大した治療を必要としないのでしょうか?この2つの疑問はいずれも大きな誤りであり、現在は「いかにして子どもの喘息を成人まで持ち越さないようにするか」、「いかにして喘息患者さんの肺機能を落とさないようにするか」、「いかにして喘息を治すか」などに焦点が移行してきているので、つまり以前よりも治療・管理の目標が高くなっているので、医師の取り組む課題は決して少なくないのです。
「昔と比べたら今の喘息なんか大したことがない!」と考えることは注意が必要です。確かに、顔色が真っ青で緊急に入院するようなお子さん、年に何回も入院するお子さんは滅多に見なくなりました。しかし、今現在の状態を診るだけではなく、喘息児の5年後、10年後、いや50年後まで考えて診療を行わなければいけないのです。少なくとも15歳まではしっかり子どもたちを見守り、内科の先生方に迷惑をかけないように努めなければいけないと思います。