「アレルギーの症状を抑える治療はかなり進歩してきたが、アレルギーを治すことはできるようになったのか?」という大きな問題があります。患者さんからは、「まだ症状だって十分に改善していないのに。」と言われそうですが・・・。少なくとも、アレルギーの専門家たちの興味は、いかにしてアレルギーを治すかということに向いてきているのです。
さて、結論から言えば、現段階ではアレルギー体質自体を治すような方法はみつかっていません。そもそも、生まれもった『アレルギー』という体質を変えるということは簡単であるはずがないのです。ちなみに、ちまたで見かける体質改善という言葉には注意が必要です。そんなに簡単に体質が変わってしまうのか!そんなことがあるのか(笑)。
アレルギーの免疫療法が注目されており、根本的な治療法として期待されています。免疫療法を発展させるためには、まずはアレルギー疾患の病態解明が不可欠でしょう。患者さんからすると驚くべきことかもしれませんが、喘息にしてもアトピー性皮膚炎にしても、まだ病態の全てが解明されたわけではないのです。部分部分で起こっている出来事(炎症など)の成り立ち等についてはかなり詳しく理解されるようになってきましたが、どのようにして喘息が発症していくのか?などの素朴な問題でわかっていないことがまだまだたくさんあるのです。
今後、アレルギー診療に夢の時代がおとずれることを期待したいと思います。