アトピー性皮膚炎の子どもさんの血液検査をすると、鶏肉・豚肉・牛肉などに対する特異的IgE抗体価が陽性を示すことが少なくありませんが、強いアレルギー症状を起こすことは必ずしも多くありません。
一昔前に行われていた厳格除去食療法では、鶏肉・豚肉・牛肉などの摂取する機会の多い肉類をあえて避け、ウサギ・鹿・カンガルーなどの肉を代替食品として奨励していました。しかし、これは全く医学的な根拠のない除去食療法であり、母子ともに苦労した時代であったと言えます。
牛肉の主要なアレルゲン成分であるBSA(血清アルブミン)というタンパク質は、牛乳にもわずかに含まれており、そのため一部の牛乳アレルギー患者さんは牛肉にアレルギーを示す可能性があります。しかし、BSAは加熱調理により抗原性を失いやすいので、実際に牛肉にアレルギー症状を示す患者さんは少ないのです。肉はたいてい焼いて食べますからね。