厚生労働科学研究班(主任研究者:海老澤元宏)による「食物アレルギーの診療の手引き2005」において食物アレルギーの臨床型分類が示されました。食物アレルギーの症状としては、じんましんやアナフィラキシーなどの即時型症状が最もポピュラーなものですが、我々は、「食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎」という病型について大いに注目すべきです。この病型は生後2~4ヶ月頃に顔面の湿疹で発症し、鶏卵や牛乳・小麦などの食物アレルギーを伴うことが多いタイプです。ここで認められる食物アレルギーがどれだけ湿疹に関与しているのかどうかというと難しい問題ですが、この病型に注目することによって早期に乳児の食物アレルギーを診断することが可能となります。極端に言えば、「乳児のアトピー性皮膚炎を見たら、食物アレルギーの合併を疑え!」ということです。注意すべき点としては、食物のみがアトピー性皮膚炎の原因というわけではないこと、食物アレルギーを合併しない乳児アトピー性皮膚炎も存在すること、などがあります。