食物アレルギーの経口免疫療法は、まだまだその定義が難しいと思います。
私はそのように感じています。
低年齢のうちから少しずつ食べさせていくと、全員とは言いませんが、ほとんどの
お子さんは食べられるようになっていきます。これは我々にもともと備わっている
経口免疫寛容の力をを呼び起こしてあげただけであり、通常は経口免疫療法とは
みなしません。
一方、5-6歳以上で症状誘発の閾値が低い、いわゆる「重症」と言われるような患者さんに
少しずつ食べさせていくような治療手段を本来の経口免疫療法と呼ぶのだと思う
のですが、この場合は、残念ながら非常に治りにくかったりもする訳です。
したがって、こういうパターンの治療においては、「治す」ことではなく「閾値を上げる」
ことが目標になってくるのだと思います。実際、無理に治そうとしないで閾値を上げる
ことを目標にするような経口免疫療法が増えているような気がしますし、そのような
戦略をとることによって安全性も守られます。無理に治そうとするから危ないという
こともあるのです。
ここまでの説明だと一つの疑問が湧いてくると思います。
つまり、「経口免疫療法をやって食べられるようになった、治った。」という・・・・・、
そういうことはあり得るのか?ということです。(続く)