食物経口負荷試験を安全に施行するためには、負荷中の患者さんの軽微な症状を見逃さないようにしなければいけません。口の周りに赤い発疹が出たとか、耳の穴をほじり(痒がり)始めたとか、急に不機嫌になってきたとか、今まで出ていなかった咳が出始めたとかなどのちょっとした症状に敏感でなければいけないのです。アレルギー症状は、閾値を超えると一気に増強する可能性があるので、調子に乗って負荷量を増やしていくと、大きな落とし穴が待っていることがあります。なるべくアナフィラキシーを起こさずに、かつしっかりと陽性反応を確認していく・・・、これは負荷試験を行っている医師がみんな理想としている展開だと思いますが、なかなか難しい問題でもあります。何十回、何百回と負荷試験を行って身につけていくものなのでしょう。
なお、上記のような症状が出たらすぐに負荷試験を中止しなければならないということではありません。その症状が負荷食品によるアレルギー症状なのかどうかをよく見極めなければいけません。例えば、不機嫌になってきたのは検査に飽きてきただけかもしれませんし、咳は風邪による症状かもしれません。
とにかくじっくりと観察することです。