少々古いですが、1992年にHugh A. Sampson先生が出された、示唆に富む論文があります(N Engl J Med 1992; 327: 380-384.)。
私は、エピペン講習会でお話する際に、たびたびこの論文を引用させていただきました。
2歳から17歳の食物によるアナフィラキシーショック症例について検討した論文です。
死亡した6症例、瀕死状態から救命された7症例、計13症例をみています。
*原因食品としては、ピーナッツおよび木の実類が大多数を占めています。
国の違いはあるにせよ、やはりナッツ類は要注意食品でしょうか。
*13例中12例が喘息を合併しています。
アナフィラキシー歴のある食物アレルギー患者さんにおいて喘息の合併は要注意です。
しっかり、喘息をコントロールしましょう。
*死亡した6例中の4例が、学校で発症しています。
*死亡した6例中で、皮膚症状が認められたのは1例のみです。
アナフィラキシーでは、皮膚症状がないこともあるので要注意です。
*死亡した6例中の5例で消化器症状が認められています。消化器症状は侮れませんね。
なお、呼吸器症状は6例全例で認められています。
*最も注目しなければいけないのは、アドレナリン(エピペン、または病院ならボスミン)
注射のタイミングです。死亡症例と瀕死状態から救命された症例を見比べてみると、
死亡症例でのアドレナリン注射が遅れているように見えます。
やはりよく言われるように、発症後30分以内にアドレナリンを接種できるかどうかで生死が分かれるかもしれないということでしょう。