いまだ寛解していない食物アレルギー児においても、症状が出ないレベルから少しずつ摂取させていると、次第に当該食品の特異的IgE抗体価が低下してきます。ほんのちょっとの量が身体に入るだけでも、驚くほどの変化が認められることも少なくありません。
そんなことはどんな教科書にも書かれていないのですが、ここ数年の我々の経験からみると、明らかに「食べていると血液検査の値(特異的IgE抗体価)が低下してくる」のです。
当初は我々も戸惑いました。特異的IgE抗体価が低下してきたから食べられるようになったのか、それとも、食べているから特異的IgE抗体価が低下しているのかわかりにくいこともあったからです。しかし、多くの症例で、食べ続けていると血液検査の値が改善してくるパターンを経験できたのです。
最近では、より低年齢(乳児~1-2歳)から摂取を開始するようになってきていますから、自然に食べられるようになっているのか、与え続けることの治療的な意味合いが大きいのかが区別しにくくなっていますが、とにかく食べられるようになっていくことは喜ばしいことです。免疫療法というよりか、食事指導に近くなってきているわけです。本当にこれで良いのかどうかはわからないという不安はあります。
何が一番良い方法かはまだ結論付けられない段階ですが、少なくとも「危ない、食べるな」と言い過ぎてきたことは確かなような気がします。どうでしょうか?