ステロイドを上手に使いこなすためには、その利点と欠点(弱点)を知ることです。
利点については、その強力な抗炎症作用であり、詳しく述べる必要はないでしょう。
弱点がいくつかあるわけですが、最も問題になるのは、皮膚萎縮(皮膚が薄くなること)
や皮膚バリア機能の低下だと思います。
ステロイド外用剤による皮膚バリア機能の低下について示したCork先生の論文は
衝撃的でした1)2)。ステロイド外用が内因性プロテアーゼの活性を高めコルネオデスモゾーム
を破壊する方向に働き、皮膚バリア機能を低下させるという説です。
ステロイドや石けんの欠点について述べており、「これがJACIに載るのか?」
なんて驚いた記憶があります(汗)。
1)New perspectives on epidermal barrier dysfunction in atopic dermatitis: Gene–environment interactions.
J Allergy Clin Immunol. 2006 Jul;118(1):3-21.
2)Epidermal Barrier Dysfunction in Atopic Dermatitis.
Journal of Investigative Dermatology 129(8):1892-908.
何度も言いますが、これで「ステロイドは使わない方が良い」は正しくないと思います。
「どうすればその副作用(弱点)を目立たせずにステロイドを使いこなせるか?」
と考えるべきです。
ステロイドは長期連用(だらだらと長く使うこと)によって皮膚バリア機能がむしろ低下
する方向に傾くかもしれないわけですが、それでは”長期連用”とはどれくらいの期間を
指すのか? また、長期連用を避けるためにはどうすれば良いのか?
次回はそこを考えてみましょう。