抗ヒスタミン薬は、アレルギー疾患の様々な分野で利用される薬です。アレルギー性鼻炎では、くしゃみ、鼻水などを抑える薬として使用されますし、アトピー性皮膚炎では、皮膚の痒みを抑える薬として使用されます。最近、この薬の副作用として「インペアード・パフォーマンス」と呼ばれる状態が話題となっています。インペアード・パフォーマンスとは、眠気は感じないものの、集中力・判断力・作業効率の低下が起きているような状態を指します。ある種の抗ヒスタミン薬などは、ウイスキーをシングルで3杯飲んだときと同等の危険性を有するとも言われています。「眠くなければ危なくない!」とは決して言えないということです。小児の場合は車の運転をすることはありませんが、長期間にわたって脳の機能が抑制されれば、発達の遅延や学業の不振につながる危険性もないとは言えません。
最近は新しい抗ヒスタミン薬が開発され、脳内に移行しにくく、眠気やインペアード・パフォーマンスが起こりにくいものが増えています。抗ヒスタミン薬を使用する際には、「インペアード・パフォーマンスをきたしにくい」という点に配慮して薬剤を選択することが重要でしょう。